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「焼きしゃぶ」誕生秘話1/3

焼きしゃぶは遠赤外線効果で炙るように焼き、和風で頂く新しい食べ方です。詳しくはこちら。

 

 大変だ!お客様がお肉を焦がしている!!

北九州市の隣にある水巻町という田舎で焼肉屋をはじめ、お客様が1日1組しか来ないという経験をしたオープン当初より10数年の日々が過ぎ、現在では神戸牛専門店として地域での知名度も上がり、休日には店内に入りきれないで順番待ちの行列ができるぐらいのお店になりました。

 

神戸牛のおんどる・店内平成13年12月頃、お店で新しいアイディアがないかとお客様を観察していました。どのお客様も最初は丁寧に焼いているのですが、後半にはいると焼き方が荒くなって明らかに焼きすぎのものを召し上がっているのを発見しました。

 

気になって翌日も観察していると、どのお客様も満足そうに召し上がっているのですが、同じように焼きすぎのお客様がちょくちょく目に付くようになりました。慌てて、『焼き方』のPOPを作り、店内にはりましたが、効果が現れません。

 

「どうしてだろう?」と今度は目をこらしてじっくり観察してみると、ある事に気がつきました。どうも比較的上物をたくさん注文されているお客様に多いということです。高級和牛全体にいえることですが、霜降りに原因があるのです。

 

 

神戸牛霜降りは、"サシ"と呼ばれる脂肪交配によって柔らかく風味浩な美味しいお肉です。特に神戸牛の場合、、その脂肪の融点(溶け出す温度)が低く、さらっとしていて胃もたれしないという特徴をもっています。しかし、上質のものでも脂肪は脂肪です。限度を超えると多少もたれてきます。美味しいので気づきにくいのですが、胃のほうが飽きてしまい、食べ方がだんだん荒くなってくるのです。

 

特に当時は醤油ダレと味噌ダレで召し上がって頂いていたので、余計にその傾向が強かったのでしょう。「このままではお客様から焼肉自体に飽きられてしまう!」と強く感じ、ショックを受けました・・・

 

 

 残念!日帰り出張具体的成果なし!!

それから、どうしたらお客様が気持ちよく最後まで召し上がれるんだろうと試行錯誤の日々が続きました。ある日、東京のほうで"焼きしゃぶしゃぶ"という食べ方でやっているお店があると聞き、そのためだけに出張しました。店はしゃぶしゃぶやすき焼きがメインのようで、見るからに高級店という雰囲気です。

 

大変期待してオーダーすると、ネーミングどおりしゃぶしゃぶのお肉を鉄板焼きで少し炙ってゴマだれで食べるという趣向のようです。出てきたお肉を見て「参ったな・・・・」と思いました。

 

私もお肉のプロです。見ただけで、だいたいの味がわかります。しゃぶしゃぶ用の薄切肉が凍ったまま出てきました。これでは、いくら上手に焼いても薄すぎて肉汁がとんでしまい、タレの味しかしません。また、鉄板にひっついて上手に焼くことすら困難です。

 

ゴマだれが美味しいのと、お店の雰囲気でお客様は満足しているようですが、当店のような田舎の焼肉屋ではすぐに美味しくないちお客様に見抜かれてしまいます。

 

少しがっかりしましたが、参考になりそうなこともたくさん有りましたので、そそくさと水巻町に帰りました。深夜に店に着き、早速スライサーでいろいろの厚さに肉を切って、"おんどる流・焼きしゃぶ"を作ってみました。少し厚切りにすると上手くいくかもしれないという感触を得ましたが、「このままでは普通の焼肉と変わらないな・・・」と思い、がっかりして床についたことを今でもはっきり覚えています。

 

しかし、東京まで日帰り出張をして何もつかまなかった訳ではありません。確かに当店でそのままの形で出すわけにはいきませんが、他のお客様の様子を見ていると皆さんお行儀良く一枚ずつ最後まで丁寧に焼いていましたし、また途中でだれることなく楽しくお食事を楽しまれておりました。これは当店のような田舎の焼肉屋ではなかなかないことです。

 

同じ肉でも、和食になるとちょっと違ってくるのだと感じました。この時点で決定的な発見はありませんでしたが、感じた事が「工夫次第で新しいものになるのではないかな・・」とぼんやりとした答えが見えたような気がしました。

 

それからはずっと、ぼんやり見えた答えを形にしようと試行錯誤を繰り返し、寝ても覚めてもそのことばかりを考えていました。人に会う度、焼きしゃぶの話をして知恵を借りようとしていました。あまり同じ話を繰り返すもので家族も呆れていたようです。

 

 

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